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平 成 9 年

電気学会 電力・エネルギー部門大会
論文集
(論文U)

Proceedings of the Eighth Annual Conference
Of Power & Energy Society IEE of Japan
(Session U, Short Papers)
July 29~31,1997
Shimane University, Japan

平成9年7月

社団法人 電気学会

電力・エネルギー部門

331
接地抵抗値の経年変化の少なく安定な新規ワイド接地極の提案

正員 福嶋茂雄(テクニカルアースシステム)  非会員 松尾義輝(テクニカルアースシステム)


The Proposal of New Wide Earth-Pole with The Less Charge of Resistance Value

Shigeo Fukushima, Member, Yoshiteru Matsuo, Non-member(Technical Earth System Co. Ltd)


1.まえがき

  電気設備に対する接地は、感電、漏洩事故防止、対地電圧の低減、異常電圧の抑制、および、保護装置類などの確実な動作などを目的に接地工事の種類を分類し、それぞれの接地抵抗値が定められている。

 変圧器、避雷器、高圧機器等を取り付けた、電気所、鉄塔、電柱等は、建設時に規定の接地抵抗値に適合させるために棒状電極、埋設接地線、帯状電極、メッシュ電極、板状電極を用いて大地との接地抵抗を確保する工事が行われている。

 当社では電柱の接地工事を、従来は電柱位置の周辺に金属棒等の接地部材をハンマーで地中に打ち込んだり、所定の深さに板状電極等の接地部材を埋め込み、当該接地部材に接地線を接続することにより施工していた。

 しかし、従来の接地部材では体積の割には表面積が小さく、しかも掘削孔の大きさ等にかかわらず、形状や面積が一定であるため。現場の状況に対する適応性に乏しく、規定の接地抵抗値が得られず、また、得られても接地工事後の定期接地測定で不良率が高く接地改修工事が頻繁に行われているのが現状である。

 われわれは、中国電力山口支店徳山営業所配電計画課の協力を得て、板状電極の改良と接地低減剤の併用による大地との接触を大きくして接地効果を狙った新規ワイド接地極(以下ワイド接地極と言う)を考案したので提案する。


2. 新規ワイド接地極と埋設方法の概要

(2.1) ワイド接地極 

写真1-aに示すように導電性に富んだ平らな銅板(250o×250oで厚み0.7o)の角形銅板を中央部に切り目のない十文字を設け4区分に分割し、それぞれ区分の軸方向に、表裏に貫通する幅の小さい切り目(溝/10o間隔)を入れてある。その切り目は金属板を拡張するためのもので、元の長さの約50%増の長さ方向に引き延ばせば編目状膨脹構造になる。また、十文字の中央部には接地線が設けられている。

埋設現場での施工に際しては、写真1−bに示すように4区分に分割した接地部材を引き伸ばしたり曲げたりすることにより、所望の形状、寸法に変形拡大することが出来る。また、十文字の中央部には接地線を設けられていることから電柱穴に接地極をバランスよく吊り下げ接地できる。

ワイド接地極と従来の棒状電極と板状電極との接地面積について比較すると、従来の接地棒の面積は47,100mu、既設円形接地極の面積は62,800mu、新規ワイド接地極の面積は250,000muで、ワイド接地極と従来の接地棒の接地面積に比較して、5.3倍、既設円形接地極(当社品)3.98倍である。

1-a)拡張前 1-b)拡張後
(2.2)埋設方法

図1に示すように、まず適当なさく孔装置で所定の位置に所定の深さの電柱孔をさく孔する。このさく孔深さは電柱の埋め込み深さ(根入り深さ)よりも30p以上深くする。所定深さの穴がさく孔されたら、その底部に導電性の良い底部充填剤(例えば、接地低減剤“エコロジーライム”(以下接地低減剤と言う)を、所定の深さだけ充填し表面を均一に均す。
一方、建柱すべき電柱の上部から電柱に沿わせて(または、電柱の内部を通して)引き下ろした接地線の下部付近を電柱の下部の適当な位置にテープ等で仮留めして置く。接地極は電柱の穴に合わせて拡張し、電柱穴の底部充填材上に吊り下げ設置する。この時、電柱の下端部から接地極までの距離が基準値(通常30p)以上あるようにする。そして、接地極の上から所定の深さまで掘削土と導電改良材(上記、底部充填材と同種のもの等)を混入した改良土等の充填材を入れて、コン柱で1〜2度転圧する。然る後、その上に電柱の基部を入れ、電柱側の接地線と接地極側の接地線とを接続し、さらに充填土、または、掘削土を電柱の回りに充填する、この時、電柱の埋め込み深さと、電柱下端部から接地極までの距離が所定値になるように注意する。これにより、建柱と接地工事が同時に完了する。



図1  埋設方法
3. 実験結果

同一柱におけるフィールドテストを接地の取りにくい岩石の多い現場を選び、棒状電極(連結棒)とワイド接地極の接地抵抗の低減効果の確認テストを下記の2方法により実施した。

@棒状電極の埋設方法  岩石が多いためハンマーによる打ち込みが出来ないため、穿孔(40φo)して孔に接地棒をさし込み土と接地低減剤を水でかき混ぜて充填する。

Aワイド接地極の埋設方法 さく孔装置で所定の位置に電柱穴をさく孔、深さは電柱の埋め込み深さ)規定よりも30p深く掘り、所定深さの孔がさく孔されたら、その底部に接地低減剤と掘削土を混合させたもので所定の深さまで充填し表面を均一に均す。次に、接地極は電柱の穴に合わせて拡張し、電柱穴の底部充填材上に吊り下げて敷き、接地低減剤と掘削土でコン柱の根入れ深さに突き固めながら埋め戻し、さらに接地低減剤の反応を促すために水を加えた後、接地極の上から所定の深さまで掘削土と接地低減剤を混入した改良土を充填し、さらに充填土、または、掘削土を電柱の回りに充填する。

〈3・1〉 同一柱における棒状電極とワイド接地極のフィールドテストでの接地抵抗の低減効果を確認した。その結果、フィールドAのワイド接地極1枚と接地低減剤使用の接地抵抗は17Ωであるのに比して、連結24本での接地抵抗は30Ωである。また、フィールドCの新規ワイド接地極1枚と接地低減剤使用の接地抵抗は35Ωであるのに比して、連結1極2本での接地抵抗は130Ωであった。

この結果から、ワイド接地極と棒状電極(連結棒)に歴然とした差があり、ワイド接地極と接地低減剤使用の埋設方法は優れた接地工法である事が確認された。

〈3−2〉 ワイド接地1極と接地低減剤1袋使用により、@、Aに示す埋設方法で施工し、その後の追跡調査により接地抵抗を測定した。その結果、施工後10箇所の平均値は36Ωであるが、工事後の追跡調査によれば施工2ヶ月後での平均値は26Ω、施工4ヶ月後での平均値は28Ωであった。

この結果から、ワイド接地極1極と接地低減剤を1袋使用による接地工事後の接地抵抗の経年変化はなく、むしろ接地抵抗が減少する傾向が確認された。

4.むすび

  本論文の結果を要約すると、次のようである。

(1)   板状電極の改良で大地との接触を大きく取る事と、電極のエッジでのコロナ放電を利用した接地効果を狙った新規ワイド接地極を考案した。

(2)   新規ワイド接地極は、フィールドテストで接地極と接地低減剤“エコロジーライム”を使用することで、優れた接地抵抗の低減効果と接地抵抗値の経年変化が少なく安定な接地極であることが確認された。

(3)   今回提案した新規ワイド接地極と接地低減剤“エコロジーライム”による接地工法は、建柱が容易に早くでき、掘削土も利用でき、また、経年変化が少なく安定な接地が得られることから、工事費の低減にも結びつくと考えられる。

(4)   今後、さらに多くのフィールドでの接地低減効果と経年変化の追跡評価による効果の確認が必要である。

謝辞

 本実験に際してご協力いただいた、中国電力山口支店徳山営業所配電計画課の皆様に謝意を表します。 



テクニカルアースシステム株式会社
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